この町にはキマダラカメムシしかいなくなってしまったのだろうか。
そう思うくらい、町がキマダラカメムシだらけであった。
無論、これは虫を探し歩いている私だから思うだけで、普通の人が普通に歩いていて、キマダラカメムシだらけだなあと思う程に増えていたわけではない。
この畳のヘリみたいな虫。
うちの近くでは、カメムシと言えば、ほぼミナミアオカメムシかキマダラカメムシである。
この前もオフィスに入り込んで来ていたので、捕まえて外に逃した。
捕まえようとする時こそ、少し怖がるものの、一旦手の上に乗ってしまうと、こっちが逃そうとしてもなかなか離れず、逆に腕の方に登ってこようとする、のんびりとした虫である。
その臭い攻撃というスキル故に、天敵があまりいないので、性格的にのんびりしているのかもしれない。
卵の頃はまるでマスカットのような美しさ。↓
ここに模様が出始めると、もうすぐ誕生。この黒い三角形を缶切りのようにして、卵を開けて出てくる。
水を吸って膨らむおもちゃか、という程に、見る間にぐんぐん大きくなる。
この時は、父親の肌着にカメムシが卵を産んでいた。「孵化させるなら、剥がしたらダメ、絶対」と思い込んでいた私と母は、躊躇することなく、父親の肌着を切り刻んでシャーレに入れて観察を始めたのだが、この少し後に、虫の師匠が、普通にガーゼに産ませた卵をピンセットでコロコロと剥がしてケースに移し替えるのを見て、「あ、あの時の肌着は別に切り刻む必要はなかったんだ」と思った。
キマダラカメムシって、なんか成虫より幼体のほうが汚い草履の裏みたいで臭そうに見える
今年の秋のトレンド、キマダラカメムシネイル。