散歩中に見つけたツマグロヒョウモンの雌。
英名がindian fritillaryであることからも分かる通り、元々インドやアフリカ辺りの蝶で、昔は九州までしか生息していなかったが、90年代くらいからじわじわと生息地域を拡げているとのこと。
翅が欠けてしまっていて、近づいてもゆっくりとしか逃げない。
もっと接写できそうだったが、弱っている蝶を追い回すのもかわいそうだったので、これくらいで。
数年前、これの幼虫が実家の庭で大量発生したことがある。
実家では猫を常に3匹くらいは飼っているのだが、不運にも何も知らないツマグロヒョウモンの幼虫はうちの猫の遊び場の柵を使ってサナギになってしまった。それも何匹も。
どう考えたって、羽化した瞬間、なぶり殺しにされる運命の蝶たち。
可能な限り、人間が先に発見して蝶になったらすぐに逃す、ということをしたのだが、やはり数匹はお猫様に生贄として捧げられてしまったのだった。
ちなみに幼虫はこんな姿をしているけど、毒はない。
(不自然にトリミングされているのは、この時、私は庭を、ピンクのトゥイーティーのパジャマでウロウロしており、その足が写り込んでいるのを消したから)
この蝶を見るとどうしても思い出す話がもう一つあるのだけど、以前、ある女性から聞いた話で、その人の息子が小学生だった時、理科の授業で、観察用の虫をそれぞれ持ち寄ることが宿題として出されたらしい。
で、その人は庭に大量にいたツマグロヒョウモンの幼虫を捕まえて息子に持たせたのだが、その日、息子が、なんと泣きながら帰ってきたので理由を聞くと「先生が『これは毛虫です。毒があります』と言って、ツマグロをみんなの前でゴミ箱に捨てた」ということだった。
ツマグロヒョウモンに毒はないし、毒があったところで、ゴミ箱に捨てるとか意味がわからないし、せっかく昆虫について学ぶ授業で、教える立場の人間がそのようなことではまったくもって逆効果であると思う。
私が親なら、図鑑かネットからプリントアウトしたツマグロヒョウモンの生態を持ってクレーム入れに行く。いや、むしろツマグロヒョウモンを素手で持って学校に乗り込もう。
と、まあ、それももう30年くらい前の話なので、今更言ってもどうにもならないのだが、ツマグロヒョウモンを見るたびに私は、うちの猫のことを思い出し、その後、理不尽な教師のことを思い出し、憤るのであった。