ミナミアオカメムシはボスニア・ヘルツェゴビナの夢を見るか?

ボスニア・ヘルツェゴビナには、「カメムシを家の中で見つけると、その家はまもなく金運を授かる」という言い伝えがあるそうです。

ゴキブリとカブトムシと私

先日、我が家に正統派(?)の昆虫、カブトムシがやってきた。

私からすると、カブトムシとか正統派すぎるし、森の中で平和に暮らしているものをわざわざ連れてきて飼うのも、子供の情操教育ならともかく、別に私はしなくてもいいかなと思うところがあったので、手を出したことはなかったのだが、頂いたので、もう大事に飼うしかない。

 

しかし、カブトムシって子供の時に家で飼ったりしてたと思うけど、私は子供の頃は虫が苦手で触れなかったので、今いきなりうちに来たところで、触り方が全然わからなかった。

痛い。すんごい痛い。

痛いと思ったらこいつ私の手をかじっている。

 

とにかく脚の力というかイガイガしているのでカブトムシの意思に関わらず、一回手に乗せると全然手から離れてくれない。むりやり離そうとすると脚がもげそうで怖い。

よくよく調べたらカブトムシは基本背面から掴むもので、その際も場所を選ばないと関節に挟まれたり脚で引っ掻かれたりするらしく、↑みたいに手や腕に乗せるなどということは怪我をする恐れがあるのであまりやらないほうがいいらしい。

なんだよ。ペット昆虫の王者である割にカメムシとかゴキブリのほうが触りやすいんじゃないか。

あと1番の問題はこの人。どこに置こうと手で引き寄せていじろうとする。そりゃそうだ。

結局テレビ台の下に入れた。あんまり目に入らないので、私も存在を忘れてしまいそうになるのが難点です。

 

ところで、虫が嫌いな人がたまに「カブトムシもむり!あんなんゴキブリみたいなもんじゃん」と言うのを聞くことがあるが、私の中ではいい意味でカブトムシもゴキブリもあまり変わらないので、ついつい、うちのカブトムシを「ゴキブリ」と呼んでしまうことが多々ある。

「ゴキブリの餌買って帰らないと」

「(同じくカブトムシを飼ってる人に対して)ゴキブリは意外と高温に弱いらしいから涼しい場所に置いてやらないといけないらしいですよ」

「(会社の人に向かって)ゴキブリで遊びたいから早く帰りたい」などなど。

もうめんどうなので、うちのカブトムシは「ゴキちゃん」と「ブリちゃん」、2人合わせてゴキブリという名前に決めた。

 

そんな折、会社で仕事をしていると、上司が私を呼ぶのでなにかと思い行ってみると「今、その椅子の下にゴキブリ(この場合本当にゴキブリ)が逃げていったがカメムシと友達の君ならなんとかできないか」というようなことを言うので、

私は本当はゴキブリくらい素手で捕まえられるのだが、それをやってしまうとさすがに引かれると思い、一応ポーズとしてティッシュをシャシャッと二枚ばかり手に問題の椅子に向かった。

2秒後、このスピードでティッシュなんか使っていたら絶対無理だと思い、ティッシュをかなぐり捨て、結局ゴキブリ素手掴みをしてしまったのである。

が。

 

思いもよらぬことが起こった。

 

私のように特別な訓練を積んでいるハンターでもちょっと半笑いになってしまう事態。

一般人なら発狂しているかもしれない。

 

なんとゴキブリが私の服の袖(長袖のカーディガン)から服の中に入ってしまい、そのまま奥へ奥へと進んでくるのだ。

呆然とする上司を背後に、なんとか肘のあたりでゴキブリを服の上から押さえ動かないようにし、なんとなく給湯室へと向かった。

ちょうど仲のいい営業マン(筋肉自慢の通称筋肉)がコーヒーを持って呑気に給湯室から出てくるところだったので「今ここの中にゴキブリおるよ」と教えると、

「一体なにをどうしたらそんなところにゴキブリがいるような事態になるんだ!!」と驚愕してついてきてしまい、なんだかんだでさっきの上司も心配してついてきたので、狭い給湯室に上司と筋肉と私(とゴキブリ)が押し詰まる事態となった。

うーん。給湯室でパパッと服を脱いで何とかしようと思ったが絶対脱げないじゃないか。

とりあえず、服の袖を引っ張ってブンブン振ると、ゴキブリがシンクに落ちてきたので、すかさず手で捕まえて洗剤をかけて殺したのである。

ごめん。本当は外に逃すつもりだったんだよ。でもここまで騒ぎを大きくして、しかも社内で取り逃したりしたらハンターとしての名が廃ると思って、つい殺してしまったんだ。

 

いずれにせよ、上司と筋肉は引いていた。

 

ゴキブリは暗い狭い方にどんどん進む習性があるので、寝てる間に耳の中に入ってしまい、取れなくなって病院に行く羽目になった人もいると聞く。

私の服の袖から奥へ奥へと入っていったのも同じ現象だろう。

ゴキブリと対峙するときは、長袖の場合は腕まくりをする。

そして、念のため身体中の穴という穴を塞いでから近寄ったほうがいいのかもしれない。

なににせよ、自分のテリトリーに入ってきた虫や動物を追い出す、あるいは殺す際には真剣に命懸けで、相手へのリスペクトを忘れずに立ち向かうことは必須だ。

間違ってもふざけた舐めた姿勢でかかることは大変良くない。

 

だーめだよ、触ったら。