ミナミアオカメムシはボスニア・ヘルツェゴビナの夢を見るか?

ボスニア・ヘルツェゴビナには、「カメムシを家の中で見つけると、その家はまもなく金運を授かる」という言い伝えがあるそうです。

ヒラタアブの話(アブ)(芋虫)

2016年の9月、ミナミアオカメムシを飼育するよりちょっと前、ミナミアオカメムシと同じく、きゅうりの葉っぱの上でヒラタアブの幼虫を見つけた話。

 

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当時の私は仕事中、ものすごく暇だった。

 

一日中勉強し続けて、TOEICの点数を800点台に上げてみてもまだ時間が余るくらい暇だった。

 

枝毛を1万本くらい切ってみてもまだ暇だった。

 

化粧をして自撮りをして加工をして、別人のアイドル級に仕上げた自分の顔面の写真を、多数の知り合いに送りつけるという迷惑行為をしてしまうほどに、暇だったのである。

 

それで私はついに仕事中に芋虫を育てることにしたのだ。

 

まず、アブラムシを繁殖させていた際に見つけたヒラタアブの幼虫を捕まえて、綺麗なきゅうりの葉っぱの上に乗せた。この時点で私は、これがなんの幼虫なのかわかっていない(調べてもわからなかった)。

しかし、後でわかったことだが、ヒラタアブが食べていたものは、なんと、きゅうりではなく、アブラムシだったのである。

「大変だ、いきなり食べ物が何もなくなったぞ!」と、慌てたのか、たまたまそういう時期だったのかわからないが、ヒラタアブは、サナギになることにしたらしい。

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サナギになったのか死んでしまったのかわからないまま、1週間後。

この時点でも、まだ私は、芋虫というものは大体、蝶か蛾になるものだと思っていた。

虫部屋に入った私の耳に「ぶーーーーん、パチッ、ぶーーーーーーん、パチッ」と何やら異様な音が聞こえてきたので、ケースを覗いてみると、

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私「は、蜂Σ(゚д゚lll)!!!!」

ヒラタアブ「ぶーーーーーーん、パチッ(ケースの壁にぶつかっている)、ぶーーーーーーんパチッ」

私「こ、怖い((((;゚Д゚)))))))」

 

この現実を見せられても、まだ私は、芋虫が蜂(アブなんだけど)になるわけがないと思っていて、さては、この蜂は寄生蜂で、きっとこいつが私の芋虫ちゃんを食べてしまったんだと思ったのだ。

 

にっくき蜂め( *`ω´)(アブなんだけどね)

 

◯してやろうかと一瞬考えたが、いや、こいつもこいつで一生懸命生きているんだ、私がたまたま芋虫ちゃんに肩入れしているからと言って、邪険に扱ってはいけないと思い直し、蜂を逃すことにした。

会社の外でケースをバンバン叩いていたのだが、怖がった蜂はなぜかサナギの殻のほうにくっついてしまって、逃げてくれないのだった。

 

おのれ、にっくき寄生蜂め。私の芋虫ちゃんを食べた挙句、まだサナギにまでしゃぶりつこうってか\\\٩(๑`^´๑)۶////と怒り心頭したものの、手を入れて刺されるのが怖いので、さらにケースをバンバン叩いていると、会社の若い男性が私の奇行に気が付き「一体何をしているのか」と訊ねてきた。

「飼っていた芋虫を食べた寄生蜂を殺したいのだが、かわいそうなので、逃がそうとしている」と答えると、まったく意味が理解できないようであったが、手伝ってくれたので、なんとか蜂を逃すことができた(今になって考えるとすごく良い人である)。

 

その後、寄生蜂の名前がなんだったのかを調べて、わりとすぐにわかったのだが、まあ、なんていうか、やっぱりあの蜂が普通に芋虫ちゃんが成虫になった姿であったのだ。

 

ヒラタアブというハナアブ。刺さない。アブラムシを食べる、益虫である。

せっかく私の願い通り成虫になったのに、ひどく憎まれ、一時は命すらも危険にさらされ、バンバン脅されたので、怖くなって出てきたサナギに隠れようとしたら更に脅され、さよならも言われなかったヒラタアブ。

その後、無事子孫を残せたことを願う。